相手が聞いてくれなかったら、どうするか知りたいです。
Q.
「コミュニケーション」の回で、じょうずな伝え方について習いましたが、それでも相手が聞いてくれなかったら、どうするか知りたいです。お友達とだと、自分の気持ちが通らなかったら怒る子もいるし、嫌なことを言ってきたりすることもあります。そんなときに、どう考えたら良いのでしょうか?(小学生メンバーより)

A.
すごく考えさせられる質問ですね。これは実は大人の世界でも同じで、人の意見を聞かないで自分のやりたいことだけを通そうとする人はいます。そのときどうするか、という大事な問いです。
もし皆さんが無人島で一人きりで生活しているとしたら、好き勝手にしても問題はありません。石をどれだけ投げても、何をしても、ほかの人に迷惑はかからないからです。自分ひとりなら、好きなように行動しても誰からも文句は言われません。
しかし実際には、私たちはたくさんの人と一緒に生きています。これを「社会」と言います。たくさんの人が一緒に生きている中で、それぞれが自分のやりたいことだけを通そうとするとどうなるでしょうか。たとえば、「この木のリンゴを全部よこせ」と一人が言い、もう一人も同じことを言えば、必ず喧嘩になります。お互いに力ずくで自分の望みを通そうとすると、争いが起きてしまいます。
このように、何の決まりもなく好き勝手に行動すると、人と人がぶつかり合い、「万人の万人に対する戦い」のような状態になります。これを「無政府状態」と言います。この状態では、力の強い人が勝つだけで、みんなが安心して暮らすことはできません。
だからこそ、私たちは社会の中で生きるために、お互いに少しずつ我慢をすることに同意しています。本当はリンゴを全部食べたいと思っても、相手も同じ気持ちだとわかれば、三分の一にしておこう、と譲る。このように、自分の自由や権利の一部を相手のために手放すことで、みんなが平和に暮らせるようにしています。
これは少し難しい言葉ですが、「社会契約」と呼ばれる考え方です。法律もその一つです。たとえば「人を殺してはいけない」というルールがあるのは、自分も殺されないようにするためでもあります。また、法律になっていなくても、「電車では降りる人が先」といった暗黙のルールがあります。これを「社会規範」と言います。こうしたルールをみんなが守ることで、社会はうまく回っています。
一方で、小さい子どもは自分の気持ちを抑えたり、相手に譲ったりすることがまだできません。欲しいものがあればそのまま取りに行きます。成長していく中で、少しずつ相手のことや社会のことを考えられるようになります。ただし、年齢だけで決まるものではなく、大人でも同じように自分のことしか考えない人もいれば、子どもでも相手を思いやれる人もいます。
ですから、お友達が自分の気持ちが通らないと怒るときには、「まだそういう段階なんだな」と理解してあげることも一つの考え方です。そして、「みんなが少しずつ我慢することが大事だよね」と伝えられるなら、伝えてあげるとよいと思います。
ただし、それでもわかってもらえない場合もあります。そのときに、相手が怒るから自分も怒る、という対応をすると、自分も同じ状態になってしまいます。損に感じるかもしれませんが、人によって成長のタイミングは違うということを知っておくことが大切です。
社会の中で生きていくためには、みんなが少しずつ譲り合うことが必要です。それが合意形成でもあります。すべての人と分かり合えるわけではありませんが、分かり合える人たちと話し合いながら関係をつくっていくことが大切だと思います。
