地球の未来のために ③ 『好循環を生むバイオ炭』(明日への環境Lesson/静岡新聞)
- yokoyama213
- 3月16日
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以前にも紹介した「温暖化を止めるために必要な3つのこと」。本当に大事なので繰り返しますね。①二酸化炭素(CO2)が増えないようにすること ②大気中のCO2を森林や陸上の植物、海草・海藻によって回収すること ③植物が回収してくれたCO2が再び大気中に戻らないよう固定化すること。最後の「固定化」の鍵が「炭にすること」=「炭化」です。
木や竹、穀物や雑草など「生物資源」のことを「バイオマス」と言います。たとえば、木質チップを燃やして発電するのはバイオマス発電、トウモロコシやサトウキビ由来のプラスチックはバイオプラスチックと呼ばれています。そして、植物を酸素がない状態で蒸し焼きにしたものが「バイオ炭」で、農業や温暖化対策の取り組みとして世界的に注目されています。
バイオマスを炭にすると、大きさは約3分の1程度になりますが、元の植物の組織がそのまま収縮するため、小さな穴が無数に開いている構造になります。わずか1グラムのバイオ炭の表面積は、250~500㎡に及ぶそうです! このたくさんの小さな穴が臭いや水の成分など微細なものを吸着してくれるので、炭は消臭剤や調湿剤として使われています。
また、バイオ炭自体は肥料ではないのですが、この無数の小さな穴が、微生物やミネラルなど植物が育つために必要な栄養素の理想的な住まいになって、土によい影響をもたらしてくれます。土にバイオ炭をすき込むことで、農作物の収穫量が平均15%増加するという研究結果もあるそうです。
さらに、バイオ炭は微生物などでも分解できないくらい固い物質なので、数百年から数千年も、その植物が生長する過程で吸収した炭素をそのまま保つことができます。これが温暖化対策の切り札の一つとして、バイオ炭に注目が集まっている理由です。
世界でも日本でもバイオ炭の取り組みがあちこちで進められています。障がいを抱えるメンバーとバイオ炭づくりを行う取り組みもあり、「炭化」と「福祉」の連携も生まれています。熱海の未来創造部でもいま新たなバイオ炭づくりに挑戦しているところです。
さまざまな好循環を生むバイオ炭の可能性に期待しています!
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2020年に移住した熱海市で環境教育に取り組む環境ジャーナリストの枝廣淳子さんが、持続可能な社会をつくるために必要な力や知識を解説します。
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