今回は未来を創る上でぜひ身に付けてほしい力の一つ、「ネガティブ・ケイパビリティ」についてお伝えします。
ネガティブ・ケイパビリティとは、「答えがすぐに見つからなくても、がんばって考え続ける力」、つまり「答えを急がない」力です。
答えや結論がわからないと不安になりますよね? 例えば、友達から悩みを相談された時にすぐにアドバイスをしたり、「そんなこと悩む必要なんてないよ」と言ってしまったりしたことはありませんか? 私たちはよく分からない、はっきりしないという状態は居心地が悪いので、問題があったらいち早く原因だと思うものを考え、解決策を考える癖がついています。でも、それが本当の原因や悩みではないこともよくあります。
そこで、答えを急がないで、相手に寄り添って聴く。相手の様子を感じ、待ち続ける。すぐに判断したり、急いで答えを出したりすることを「しないでおく」のが、ネガティブ・ケイパビリティと呼ばれる力なのです。
パッと答えを出すほうが「偉い」「強い」人だと思うかもしれませんが、世の中、そんなにパッと答えが出せる問題ばかりではないのです。そこで、この力を発揮できる人は、よく分からない出来事や困難な状況に遭遇したとしても、不安や焦りにじっと耐え、「答え」の手がかりが見つかるのを待ち続けることができます。友達の本当の悩みは何なのか、といった真実に近づくこともできるでしょう。
複雑に物事が絡み合った現代社会では、すぐには解決できない問題がほとんどです。立ち止まってじっくり考えることも大事にしましょう。自動車にアクセルとブレーキの両方が必要であるように、パッと決める力だけではなく、じっくり考え続ける力の両方を身に付けて、場面に合わせて使い分けられると最強です。
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2020年に移住した熱海市で環境教育に取り組む環境ジャーナリストの枝廣淳子さんが、持続可能な社会をつくるために必要な力や知識を解説します。
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