以前「温暖化を止めるために必要な3つのこと」について触れました。
大気中の二酸化炭素(以下CO2)をこれ以上増えなくすること。出てしまったCO2を回収すること。その方法として、植物や海草・海藻が吸収してくれるブルーカーボンについてお伝えしました。そして陸や海の植物が回収してくれたCO2がふたたび大気中に戻らないよう「固定化」することです。
植物は光合成のプロセスで大気中のCO2を取り込み、酸素(O2)を出します。残った炭素(C)が植物の身体になって生長します。ただ、その植物が腐ったり燃やされたりしたら、せっかく取り込んだ炭素(C)も、空気中の酸素(O2)と結合してふたたびCO2になって大気に出てしまうのです。
そうならないように「固定化」しなくてはなりません。その切り札が「炭化」です。植物を「炭」にすると、微生物にも分解できない硬い物質になり、炭素を数百年から数千年、閉じ込めることができます。植物(バイオマス)を炭にするので、「バイオ炭」と呼ばれ、世界でも注目と取り組みが広がっています。
私が代表を務める「未来創造部」では炭化事業にも取り組んでいます。熱海市内から車で10分ぐらいの土地に「未来炭化ユニット」という製炭炉を置いて炭を作るとともに、あちこちの地域で製炭炉を導入するサポートをしています。6~8時間ぐらいで炭ができ、煙や臭いも出ないため、人家の近くでも炭づくりができます。
また、この製炭炉はクレーン付き4tトラックに積載できるように設計してあるので、炭にしたい木や竹、剪定枝などがある場所に移動して、その場で製炭できます。地域の植物性の「お困りもの」をバイオ炭にすることで、エネルギー源や土壌改良材として地域資源の循環につながり、同時に温暖化対策にもなるのです。
森や海草・海藻に吸収してもらったCO2を炭にして固定化する! 炭ってスゴイですね。
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2020年に移住した熱海市で環境教育に取り組む環境ジャーナリストの枝廣淳子さんが、持続可能な社会をつくるために必要な力や知識を解説します。
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