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プラスチックごみ問題 ① 『社会の発展 支えた物質』(明日への環境Lesson/静岡新聞)

更新日:2月14日

 







 ここ数年、プラスチックごみ問題が世界中で注目を集めています。プラスチックの何が、なぜ問題なのか、考えていきたいと思います。


 皆さんはどんなプラスチックを身につけていますか? 時計のバンド、眼鏡、髪の毛用のゴム、T シャツのポリエステルやナイロンはみんなプラスチックです。部屋の中を見てください。電気、カーテン、家具、雑貨や装飾品など、プラスチックは私たちの周りでたくさん使われています。


 世界で最初のプラスチックが作られたのは1907年。その後、40から50年代には急速に大量生産が進み、プラスチックは社会の発展を支えてきたとも言えます。これだけプラスチックが使われるようになったのは理由があります。


 まず、軽いこと。昔は瓶に入っていた飲み物も今はプラスチックのボトル。軽くて助かりますよね。耐水性もあります。いろんな形にもできます。そして安価であること。とっても使いやすい素材だから、何にでも使うようになったのですね。


 また、添加剤によって好きな特性を持たせることができます。例えば カーテンにはポリエステルに難燃剤という添加剤を入れた燃えにくくしたものがあります。もしくは可塑剤という添加剤を入れることで曲がりやすい、形が変えやすいプラスチックができます。こういった便利さや特長によってプラスチックの使用量が増大してきました。


 今は環境問題の元凶のように言われているプラスチックですが、実は環境保護にも役立っているんです。ひとつは野生動物の保護です。装飾品などの材料として使われてきた象牙やウミガメの甲羅をプラスチックで代用することで、野生動物を殺さずにすみます。また、軽量化が進むことで、輸送時の燃料や二酸化炭素排出量を削減することができます。高性能プラスチックによって食品の寿命や衛生が保てる容器包装のおかげで、食品ロスも減らせます。


 このように環境負荷の低減にも役立つプラスチックが、なぜ大きな問題になってきたのでしょうか。次回、ご紹介しましょう。

 





 



 2020年に移住した熱海市で環境教育に取り組む環境ジャーナリストの枝廣淳子さんが、持続可能な社会をつくるために必要な力や知識を解説します。



 


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