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生物多様性 ① 『500万種以上が共生関係』(明日への環境Lesson/静岡新聞)

 




 「生物多様性」という言葉を聞いたことがありますか? 生物多様性は気候変動のようにわかりやすく感じたりする機会が少ないので、意識したことがない、聞いたこともない、という人も多いかもしれません。でも実は、私たちが普段当たり前のように得ている食べ物やきれいな水、空気といった自然の恵みも生物多様性があるからこそ存在しているのです。


 地球上には多種多様な生物が存在しています。大きな分類でいえば、動物、植物、藻類、菌類、細菌類など。「動物」の中を細かくみていくと、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類、昆虫類、甲殻類、軟体動物などがあります。


 両生類のカエルや爬虫類のヘビといったように、さらに細かく考えると、地球上には何種類ぐらいの生物がいると思いますか? 現在までに「わかっている」生物の種類は約175万種。さらに哺乳類約6千種、鳥類約9千種、昆虫は約95万種。まだ知られていない生物もいっぱいあるので、それらも入れると地球上の総種数は500万~3千万種あるとも考えられています。


 動物同士の食べる・食べられるの関係を「食物連鎖」と言います。地球上のあらゆる生物は、食物連鎖や虫が花粉を運ぶといった共生関係でつながり、支え合っています。この大きなつながりの網から外れて生きていける生物は存在しません。もちろん私たち人間も1つの生物種として大きな「つながりの連鎖」の中に生きています。そして、お互いに影響を与え合いながら、自然界全体のバランスをとっています。たった1種類の生物がいなくなっても、全体に影響が出てしまいます。


 さまざまな生物種のつながりとバランスに、地球上のすべての営みは支えられています。そして、そのおかげで私たちは食べ物や産業に必要な原材料などを得ることができるのです。生物の多様性が失われたら、私たちの命や人間の生存そのものも脅かされてしまうかもしれません。多様な生き物が地球上に存在しているーーこの生命の豊かさを表す言葉が「生物多様性」なのです。


 



 2020年に移住した熱海市で環境教育に取り組む環境ジャーナリストの枝廣淳子さんが、持続可能な社会をつくるために必要な力や知識を解説します。



 


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