
生物多様性は私たちの使うものや買うものを選ぶことで守ることができます。そのためには「選ぶ力」を磨いていきましょう、ということを前回お伝えしました。「海のエコラベル」を付けた商品は、スーパーで見つけられたでしょうか?
今回は皆さんが「使う」ものの例として「ノート」を考えます。皆さんは学校で使うノートを買う時、どういうものを選んでいますか?
ノートは紙で作られていますよね。紙の原料は何でしょう? 一番多い原料は木材です。木のチップを細かくして「パルプ」という繊維状のものを作り、それを原料にします。そうすると、その木はどこでどのように生えている木でしょうか。
アマゾンのような原生林なのか、もしくは皆さんの身近にある森の木から作られたものか。その森の木はどのように育てられているか、守られているか、ちょっと想像してみましょう。
森林の生物多様性を守り、地域社会や先住民族、労働者の権利を守りながら適切に生産された製品につけることができる「FSCの森林認証マーク」というものがあります。このマークがついた商品を購入すれば、森を守り、適切なかたちで作られたノートを使うことができます。木材ではなく、使い終わった紙を集めて、新しい紙に作り直した「リサイクル紙」を使ったノートもいいですね。
「オーガニック(有機栽培)」という言葉を見たり聞いたりしたことがあるかもしれません。化学肥料、農薬などを極力使わずに育てた農作物は、生態系や生物多様性への悪影響が少ない商品です。また「フェアトレード」という言葉を聞いたことはありますか? フェアトレードは、環境を破壊しない栽培方法で作られただけではなく、児童労働で作られていないこと、公正な賃金が支払われていることを意味します。チョコレートやバナナ、コーヒーを買うとき、フェアトレードの商品を探してみましょう。皆さんの選択が、生物多様性はもちろん、遠い国の人たちの生活にもつながっています。
買い物は投票です(もちろん「買わない」という選択も大事です)。もし身近なスーパーが海のエコラベルやFSCの森林認証、フェアトレードの商品を扱っていなかったら、スーパーの方に尋ねてみてください。消費者の関心や要望が高まれば、企業も正しい方向に進みやすくなります。
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2020年に移住した熱海市で環境教育に取り組む環境ジャーナリストの枝廣淳子さんが、持続可能な社会をつくるために必要な力や知識を解説します。
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